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頭のけが

頭部外傷とは、外から何らかの力が頭部にかかること生じる、頭皮・頭蓋骨・脳の損傷をいいます。擦り傷・切り傷から、脳内で大出血を起こす重篤なものまでが含まれます。
軽い打撲で済んだと思っていても、実際は脳が損傷を受けている場合や、時間が経ってから脳内で出血する「慢性硬膜下血腫」を起こす場合もあります。また、脳震盪は本人が気づかないケースもあるため、注意が必要です。
気になる出来事や症状がありましたら、遠慮なく受診していただければと思います。

頭のけがの種類

一般的な創傷

たんこぶや頭の擦り傷・切り傷があげられます。

たんこぶ

打撲した部分の皮膚の中で出血するものなので、通常は自然に治ります。
たんこぶがなかなか治らないときは、受診してください。

擦り傷・切り傷

患部を清潔にしてください。
傷口が深いときや出血が止まらない場合は、患部を縫合する必要がありますので、受診してください。

脳震盪

脳震盪(のうしんとう)とは

衝撃が加わって脳が揺さぶられると、「軸索」という神経線維が伸びたりねじれたりして、脳が一時的に動かなくなる状態が生じます。これを脳震盪といいます。顔や頭がぶつかる直接的な衝撃のほか、体が叩きつけられたときに脳に伝わる間接的な衝撃でも生じます。スポーツだけでなく、通学中に転んだり机に頭をぶつけたりするなど、日常生活でも起こる可能性があります。
また、脳震盪は、けがのような目に見える変化がないため、本人が症状に気づかず過ごしてしまうケースがあります。放置していると、後遺症が残ったり死に至ったりする恐れもありますので、正しい診断と治療が重要です。下記の症状がある場合は、必ず受診してください。

脳震盪の症状
  • 一瞬でも意識の消失がある
  • 倒れて動かない、立ち上がるまでに時間がかかる
  • ぼーっとしている
  • フラフラしている
  • 動きが鈍い
  • 受け答えがおかしい、時間がかかる
  • 人格が変わる
  • 混乱している
  • 相手が誰だかわからない
  • 衝撃を受けた前後のことが思い出せない
セカンドインパクト症候群

様々な意見がありわかっていない部分も多いですが、脳震盪が起こって回復しないうちに再び強い衝撃が脳に加わると重篤な状態に陥る可能性が指摘されています。
脳震盪になったときは、医師の指示通りしっかり脳を休まることが重要です。スポーツや車の運転の復帰を急いではいけません。

慢性硬膜下血腫

慢性硬膜下血腫とは

頭の外傷の約1~2カ月後に、脳を覆っている硬膜と脳の間に血液が溜まって血の塊(血腫)ができる疾患です。血腫が小さいと自然に治ることもありますが、基本的には外科的な治療が必要です。硬膜下血腫は、CTやMRIで鑑別します。

慢性硬膜下血腫の症状

頭の外傷から数週から1,2か月後に次のような症状が出た場合は、受診してください。

  • 頭痛が続く
  • 麻痺
  • 歩きづらい
  • 認知機能の低下
  • 意識がなくなる

頭蓋骨(顔面骨)の骨折

頭や顔に衝撃が加わると、頭蓋骨や顔面骨を骨折することがあります。症状としては、骨折した部分に痛みやたんこぶを伴います。
それから、骨折した箇所の血管から出血すると、頭蓋骨と脳を包む硬膜の間に血が溜まって血腫になる「急性硬膜外血腫」を起こす場合があります。
また、耳の後ろの骨を骨折すると、顔の筋肉を動かすための顔面神経や聴覚・平衡感覚を司る内耳神経が障害され、顔面麻痺や聴覚障害を引き起こすことがあります。眼窩底骨折(目の周りの骨の骨折)を起こすと、視力の低下や眼球の運動障害が生じることがあります。目の周りがパンダのように黒ずんだり、耳の後ろを強打したりしたときは、速やかに受診してください。

頭蓋骨(顔面骨)骨折の種類

頭蓋骨骨折は、線状骨折と陥没骨折に分けられます。

線状骨折

頭蓋骨に、一本の線状に骨折線が入った状態です。
骨がずれることは少ないため、経過観察となることが多いです。

陥没骨折

強い衝撃が頭蓋骨のやや広い範囲にかかると、陥没骨折を起こします。骨折部分が凹んで、美容面で問題になったり、陥没した骨が脳を圧迫したりすることがあります。
皮膚が損傷して頭蓋骨の骨がむき出しになっている場合は、早期に感染を防ぐための治療と傷の修復を行います。また、見た目の問題が生じているときは、骨がくっつく前に手術で修復する必要があります。放っておくと、ずれたまま骨がくっついてしまうことがありますので、早期に受診するようにしましょう。

顔面骨骨折について

顔面骨は頭蓋骨の一部で、顔の骨格を形成する骨のことです。

顔面骨骨折が生じやすい部分
  • 前頭骨
    おでこの骨です。
  • 眼窩
    目の周りの骨です。
  • 鼻骨・篩骨(しこつ)
    鼻とその奥にある骨です。
  • 頬骨
    ほほの骨です。
  • 上顎骨
    上の歯茎から鼻の下にかけての骨です。
  • 下顎骨
    下の歯茎と下あごの骨です。

その他のけが

脳挫傷や外傷性くも膜下出血が生じて、意識障害、後遺症、けいれんが残る場合があります。時間を急がないと、命に関わる重篤な状態になることもあります。下記の症状があるときは、救急受診してください。

脳挫傷
脳挫傷とは

頭部への激しい衝撃や揺れによって、脳そのものが損傷した状態です。損傷を受けた部分に機能障害が生じるほか、脳が腫れて頭蓋骨の内圧が高まることもあります。

脳挫傷の症状
  • 激しい頭痛
  • 嘔吐
  • 意識障害
  • 体の片側の麻痺
  • 言語障害
  • けいれん
  • 呼吸障害
外傷性くも膜下出血
外傷性くも膜下出血とは

頭部への激しい衝撃によって、「くも膜」と呼ばれる脳表面の膜と脳の空間にある血管が、突然切れて出血した状態です。

外傷性くも膜下出血の症状
  • 激しい頭痛
  • 吐き気、嘔吐
  • 意識障害
  • 体の片側の麻痺
  • 言語障害
  • けいれん

頭をけがしたときの対処法

頭をけがしたときの受診までの応急処置を解説します。

頭を打ったとき

頭を高くして安静にし、冷しタオルなどで患部を冷します。脳震盪の症状やひどい頭痛、嘔吐がある場合は、速やかに受診してください。
症状が治まった後は、慢性硬膜下血腫の症状に注意しましょう。

頭から出血しているとき

頭皮は血管が多く、皮膚が張っているため、少しの傷でも出血しやすいです。頭から出血するとパニックになるかもしれませんが、まずは落ち着いて圧迫止血をしましょう。
頭を心臓よりも高く上げた状態で、傷の周辺にタオルやハンカチなどの清潔な布を当てて、強く押さえます。少しの傷であれは3~4分ほどで止血できますが、なかなか血が止まらないときは、圧迫を続けましょう。
傷口が深いときや出血が止まらない場合は、患部を縫合する必要がありますので、受診してください。

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