脳神経内科
脳神経内科は、脳や脊髄、神経、筋肉の疾患を診る内科です。
当院では、脳神経内科の疾患と生活習慣病や不眠症を総合的に診療します。
また、病気の予防や早期発見にも力を入れています。医学の進歩と薬の開発により、難病といわれる病気の治療の範囲は広がりつつあります。必要と考えられる場合には専門病院に紹介させていただきます。下記のような症状がある方は、お早めにご相談ください。
症状
- 体が勝手に動く
- 体がこわばる・曲がる
- しびれ
- 力が入らない
- 喋りづらい
- 言葉が出てこない
- 歩きづらい
- 顔のゆがみ・痛み・けいれん
- 体のけいれん
- もの忘れ
- 物が二重に見える・見えにくい
- 視野が欠ける
脳神経内科の代表的な疾患
三叉神経痛
三叉神経痛とは
三叉神経は、顔の感覚を脳に伝え、ものを噛むときに使う筋肉をコントロールする神経です。
三叉神経痛の原因の多くは、神経が脳に入る手前で動脈に圧迫・刺激されるためです。
三叉神経痛の症状
- 顔の表面をナイフで刺すような一瞬の鋭い痛み
- 食事や歯磨き、洗顔などの動作がきっかけで痛みが出る
不随意運動
不随意運動とは
自分の意思とは関係なく、勝手に体が動いてしまう現象です。体の一部から全身が動くものまでを含みます。
不随意運動の例
振戦
振戦とは
体の一部が一定方向に規則的に震える動きです。
安静時に起こる静止時振戦と、体を動かすときに起こる動作時振戦があります。静止時振戦の例はパーキンソン病やジストニアの一部です。動作時振戦の例は「本態性振戦」です。本態性振戦は手や頭部によく見られます。
本態性振戦の症状
- 手が震えてうまく字が書けない
- コップを持つ手が震える
- 携帯電話やATMのボタンを上手に押せない
顔面けいれん
顔面けいれんとは
自分の意思に関係なく、顔の片側の筋肉が無意識にピクピクと動く状態です。
原因の1つは、顔の筋肉を動かす神経の根本が、脳の動脈によって圧迫・刺激されるためです。
当院ではボツリヌス療法も取り入れています。
顔面けいれんの症状
- 顔の片側が無意識にピクピクと動く
ジストニア
ジストニアとは
体の筋肉が無意識にこわばってしまい、異常な姿勢や異常な運動を起こすものです。
ジストニアの症状
- 手や足の不随意運動
- 体幹部のねじれや反り返り
- 両目のまぶたが閉じてしまい、目を開けにくい
- 首が勝手に曲がって傾く
- 手が勝手に曲がって、文字を書きにくい
ジスキネジア
ジスキネジアとは
自分では止められない、また、止めてもすぐに出現するおかしな動きの総称です。抗精神病薬やパーキンソン病治療薬の副作用の場合があります。症状が出たときは勝手にお薬を止めず、医師にご相談ください。
ジスキネジアの症状
- 口をすぼめる動作を繰り返す
- 左右に舌を動かす
- 口をもぐもぐさせる
- 歯を食いしばる
- 目を閉じるとなかなか開かず、しわを寄せている
- 勝手に手足が動く
- 手足に力が入って、力を抜くことができない
チック
チックとは
突発的に、体の一部の早い動きや発声を不規則に繰り返すものです。
日常生活に支障をきたす場合は、治療が必要です。
チックの症状
- まばたき、首振り、顔をしかめる
- 物に触る、物を蹴る、飛び上がる
- 発声、咳払い、鼻鳴らし
- 人前で汚い言葉を言ってしまう
- 人の言ったことを繰り返してしまう
パーキンソン病
パーキンソン病とは
パーキンソン病の4徴は、「静止時に手足が震える」「筋肉が固くなる」「動作が鈍くなる」「転びやすくなる」です。
原因は、神経伝達物質のドパミン神経細胞の減少です。ドパミンが減少すると、運動がうまくできなくなります。不足したドパミンをお薬で補充することで、症状の軽減が期待できます。
パーキンソン病の症状
- 止まっているときに、手・足・あごなどが震える
- 手足がこわばって曲げにくい
- 動き始めるのに時間がかかり、ゆっくりとしか動けない
- 転倒しそうになったときに、とっさに手や足が出ない
- 小声、声がれ、喋る速度が単調になる
- 認知機能の低下
パーキンソニズム (パーキンソン症候群)
パーキンソニズムとは
パーキンソン病とは異なる原因で、パーキンソン病と同様の症状が起こる疾患です。
様々な疾患が含まれますが、特に症状が似ているのは、「進行性核上性麻痺」と「多系統萎縮症」です。
進行性核上性麻痺
進行性核上性麻痺とは
脳の中の大脳基底核、脳幹、小脳の神経細胞が徐々に減少する疾患です。
進行性核上性麻痺の特徴
パーキンソン症状に加えて、下記の症状がみられます。
- 転倒しやすくなる
- 眼球を上下に動かしづらい
多系統萎縮症
多系統萎縮症とは
小脳、大脳基底核、自律神経などの神経系の複数の系統の状態が変化したり、その一部が小さくなったりすることで、運動障害や自律神経障害などの様々な症状が出現します。
多系統萎縮症の特徴
パーキンソン症状に加えて、下記の症状がみられます。
- 頻尿や尿漏れ
- 起立性低血圧
- 発汗低下、体温調節障害などの自律神経症状
- ふらつき、歩行不安定
ALS (筋萎縮性側索硬化症)
ALSとは
脳や脊髄の筋肉を動かすための神経が障害を受け、筋肉が徐々に弱くなっていく疾患です。
手の指を動かしにくい、喋りづらい、物を飲み込みにくいなどの症状から始まり、やがて全身の筋肉がやせてしまい、呼吸のための筋肉が動かなくなって、多くの方は呼吸不全で亡くなります。
ALSの症状
- 手の指が動かしにくい
- 手足の筋肉がやせる、力が弱くなる
- 物を飲み込みにくい
- 喋りづらい
てんかん
てんかんとは
脳内細胞の過剰な電気的興奮がもとで、発作的に意識障害やけいれんを起こす脳の疾患です。
抗てんかん薬により約7割の方に発作が起きなくなりますが、車の運転は医師と相談して決めましょう。
てんかんの発作
- 意識をなくし、手足をつっぱらせた後に、体がガクガクけいれんする
- 口から泡をふき、白目をむく
- していた動作をやめてボーっとしており、呼びかけても反応がない
- 手足、顔、体などの筋肉が、一瞬ピクっとなる
- 不意に物を落とす、転倒する
- 片方の手足や顔のつっぱり・けいれん・しびれ
多発性硬化症
多発性硬化症とは
中枢神経系が障害される、自己免疫疾患です。
神経線維を覆う髄鞘が炎症を起こして破れることで神経の信号伝達が阻害され、様々な症状が現れます。
多発性硬化症の症状
- 手足のしびれ
- まっすぐ歩けない
- 物が二重に見える、見えにくい、視野が欠ける
- 疲労感
- 筋力低下
- 頻尿、尿漏れ、失禁
- 認知機能の低下
もの忘れ
もの忘れとは
もの忘れの原因は、「軽度認知機能低下」「正常圧水頭症」「一般的な認知症」「パーキンソン病に伴う認知症」などが考えられます。
認知症には予防できるものもあるため、早期に治療介入することが重要です。
軽度認知機能低下 (MCI)
軽度認知機能低下とは
認知機能の低下があり、同年代の人に比べて認知レベルが低いものの、基本的な日常生活を送れている状態です。
軽度認知機能低下の症状
- 新しい場所に行くことや、新しい機械を操作することが難しい
正常圧水頭症
正常圧水頭症とは
脳内の脳脊髄液が過剰になり、認知機能低下や歩行障害、排尿障害を起こす疾患です。
正常圧水頭症による認知機能低下は、治療で改善させることができます。
正常圧水頭症の症状
- 両足の左右の間隔が広がり、歩行が小刻みになる
- 集中力や意欲の低下、情報処理能力の低下、もの忘れ
- 頻尿、尿漏れ、失禁
一般的な認知機能低下
一般的な認知機能低下とは
「加齢によるもの忘れ」と「アルツハイマー型認知症」「血管性認知症」「レビー小体型認知症」「前頭側頭型認知症」などがあげられます。
加齢によるもの忘れは、ヒントがあれば思い出せます。一方、認知症によるもの忘れは、人との約束などの物事自体が覚えられず、ヒントがあっても思い出せません。認知症になると日常生活に支障をきたします。
認知症の症状
- 直前の行動を忘れる
- 親しい人の名前が思い出せない
- 自分のいる場所がわからない
- 料理の手順がわからない
生活習慣病
生活習慣病とは
食習慣、運動習慣、飲酒、喫煙などの生活習慣が原因の慢性疾患です。高血圧、糖尿病、脂質異常症などがあります。
放っておくと、動脈硬化などを起こして脳や心臓に影響を及ぼすため、病気を予防することが重要です。
生活習慣病の症状
ほとんど自覚症状がありません。
睡眠の悩み
不眠症とは
良質な睡眠がとれないと日中に眠気やだるさを感じて集中力が低下し、日常生活に支障をきたします。
ストレスがもとで他の病気になるため、睡眠障害の治療は重要だと考えています。
不眠症の症状
- 寝入りが悪い
- 眠りが浅く、途中で何度も目覚める
- 早朝に目が覚める
- ぐっすり眠った気がしない