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てんかん

てんかんは、脳内細胞の過剰な電気的興奮がもとで、発作的に意識障害やけいれんを起こす慢性的な脳の疾患です。過剰興奮が起きる場所によって、その症状は様々です。
日本では100人に1人、全国に約100万人の患者様がいるといわれています。乳幼児から高齢者まで、様々な年代の方に発症します。
てんかんと聞くと、けいれんのイメージが浮かぶかもしれませんが、けいれんを起こさないものもあります。「てんかん発作かな?」と思われた方は、そのときの様子をスマホの動画カメラなどで記録しておいていただくと、診察時に非常に役立ちます。
気になる症状がありましたら、遠慮なくご相談いただければと思います。

*2001年頃より「部分発作」は「焦点発作」への変更が提案されています。また、2017年より①発作型(焦点起始発作、全般起始発作、起始不明発作)を分類し、②てんかん病型(焦点てんかん、全般てんかん、全般焦点合併てんかん、病型不明てんかん)を決め、③てんかん症候群の診断を行う、というように変更となっていますが、本ページでは浸透している従来の呼び名で解説しています。

てんかんとは

脳内の電気回路の異常がもとで、脳がショートしたような状態になって発作を起こす疾患です。
原因が見つからない「特発性のてんかん」(一次性)と、脳梗塞や脳出血、脳腫瘍などが原因の「てんかん症候群」(二次性)があります。
発作がないときは、普段通りの生活ができますが、発作の頻度があまりにも多いと、脳の機能が低下してしまうことがあります。

てんかん発作の種類と症状

てんかんには、脳全体が興奮する「全般発作」と、脳の一部から興奮が始まる「部分発作」があります。

全般発作

強直間代(きょうちょくかんだい)発作
  • 意識をなくし、手足をつっぱらせた後に、体がガクガクけいれんする
  • 口から泡をふき、白目をむく
  • 発作は数分間で治まることが多い
  • 舌を噛んだり、尿失禁してしまったりすることもある
  • 発作後は意識が朦朧としたり、眠ってしまったりすることが多い
欠神(けっしん)発作
  • 今までしていた動作をやめてボーっとしており、呼びかけても反応がない
  • 5~15秒ほどで元に戻る

※子どもに多い発作です。

ミオクロニー発作
  • 手足、顔、体などの筋肉が、一瞬ピクっとなる
  • 発作により、物を落としたり、転倒したりする
  • 一瞬の発作のため、意識障害があるかどうかはわからない

※思春期に発症する「若年ミオクロニーてんかん」は、朝起きてすぐにコップや物を落とすという症状がみられます。

部分発作

単純部分発作
  • 片方の手足や顔のつっぱり・けいれん・しびれ
  • 実際にはないものが見える、聞こえる
  • 吐き気
  • わけもなくさみしい、怖い、なつかしい感じがする

※意識は保たれます。

複雑部分発作
  • 今までしていた動作をやめてボーっとしており、呼びかけても反応がない
  • 意識がなくなる発作
  • 発作が数十秒~数分間持続する
  • 口をモグモグ、クチャクチャしたり、手足をモゾモゾさせたり、片方の手が不自然な方向につっぱったりすることもある

※大人のてんかんで最も頻度が高い発作で、高齢者のてんかん発作の約半数を占めます。

二次性全般化発作
  • 単純部分発作や複雑部分発作に続いて、意識をなくし、手足をつっぱらせた後に、体がガクガクけいれんする

てんかんの部位と症状

部分発作において、興奮が生じる脳の部位によって症状は異なります。

側頭葉てんかん
  • 急に反応がなくなり、ぼーっとする
  • 口をクチャクチャする
  • 吐き気
  • 手をモゾモゾさせる
前頭葉てんかん
  • 急に手足をバタバタさせる
  • 突然夜中に起きて泣き叫ぶ
  • 手足、顔の筋肉が、ピクピクする
  • 面白くないのに笑い出す
後頭葉てんかん
  • チカチカした光が見える
  • 視界が暗くなる
  • 視野が曇る

てんかんの診断

問診で日頃の様子や発作時の様子をお伺いした後に、脳波検査とCTやMRI検査を行います。脳に異常な電気活動があると、脳波の異常がみられます。ただし、脳波に異常があっても、てんかんであるとは限りません。そのため、CTやMRI検査で脳の器質的な異常がないかを確認します。
問診では、発作の状況や、発作が起こった時間帯、頻度などをお伺いします。患者様本人は当時の意識がないこともありますので、ご家族などの周囲の方にお話をお伺いすることもあります。「てんかん発作かな?」と思われた方は、そのときの様子をスマホの動画カメラなどで記録していただければと思います。

てんかんの治療

治療では、抗てんかん薬と呼ばれる興奮を抑える飲み薬を用います。お薬は、てんかんの原因と発作の種類によって異なります。お薬により、約7割の方に発作が起きなくなるといわれています。薬が効かない場合は、手術で発作を抑えられることもあります。
睡眠障害、ストレス、過労、飲酒はてんかん発作の引き金になると考えられています。日頃の生活習慣を見直しましょう。

道路交通法について

道路交通法により、てんかんであるにもかかわらず、医師の許可なく運転して事故を起こすと、罰則が科せられることがあります。
車やバイクの運転については、主治医と相談しながら考えていきましょう。

てんかん発作時の対応

発作時に周囲の人はパニックになりがちですが、落ち着いて行動しましょう。
まずは、患者様の周囲の危険を取り除きます。衣服を緩め、呼吸がしやすいようにしましょう。発作時は、口の中にハンカチなどの物を入れてはいけません。また、発作時に抗てんかん薬は飲ませないでください。
発作が治まったら、口から出た分泌物で窒息しないように、患者様を横向きに寝かせます。
バタバタけいれんしているときは、無理に押さえつけるとけがをすることがあるため、そっと付き添うようにしてください。

てんかん患者様の福祉制度

てんかん患者様の日常生活を支援するための社会制度がいくつかあります。
患者様本人、もしくは、ご家族が行政の窓口に申請ください。

自立支援医療制度

てんかんと診断され、治療を受けている方が利用できる制度です。
てんかんは長期的に付き合っていかなければならない疾患です。また、抗てんかん薬にも費用がかかります。新しいお薬は、高額なものも多いです。
自立支援医療制度を利用すると、てんかん治療の医療費の一部が公費で補助されます。

精神障害者保健福祉手帳

障害のある人の自立と社会参画をサポートする制度です。
てんかんと診断されてから6カ月以上が経過していて、日常生活や社会生活に支障をきたしている方が認定されることがあります。
税金の支払いの優遇や公共施設等の利用料の割引など、金銭面でサポートされます。

障害年金

障害がある人の生活をサポートするために、障害の重さに応じて、年金が支給されます。
てんかんと診断されてから1年6カ月以上が経過しているものの、発作がコントロールできておらず、日常生活や社会生活に支障をきたしている方で、診断前に年金を納めている方が利用できることがあります。

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